■川上信也さんの写真 |
川上さんとはこれまで、『坊がつる山小屋日記──くじゅう法華院温泉の12カ月』(2003年)、『くじゅう万象──坊がつる日月』(2004年)、『福岡の休日──Four Seasons of Beauty Around Fukuoka City』(2006年、いずれも海鳥社)の3冊を一緒に作ってきた。
『福岡の休日』は、「福岡(市域)がこんなふうに美しく写真で描かれたことはない」と評判になり、川上さんは一躍、新進気鋭の風景写真家として知られるようになった。特に女性たちに人気が高いようだ。5年振りとなるこの『福岡 ロード・ピクチャーズ』は、その取材範囲を福岡県内に広げ、被写体もさらに多彩になった。川上さんも「写真がもっと良くなっています」と自信満々。
川上さんの写真を見ていつも思うのは、川上さんの眼が、対象の美しさを真っすぐに捉えていること。詩的なだけに、どこか孤独だ。けれど、決して人を寂しくさせることはない。その理由は、川上さんが何よりまず、自分の「大事な人」に見せたくて写真を撮っているからだ、と私は思う。
そうした、ある意味プライベートな動機に発した撮影行為に対してこそ、神ではなく風景が、「降臨」のごとく立ち現れる。焦がれていた光景が、向こうからやって来る。川上さんの写真に示されているのは、そのような「仕合わせ」の力ではないだろうか。
編集中の写真から、今の季節の3点をご覧いただこう。上から、秋月、北九州・皿倉山、筑後川。


