■101回目の読書会 |
当日のテキストは、長谷川三千子著『日本語の哲学へ』(ちくま新書)。日本人にとって「哲学する」とは一体どういうことか──をテーマとする、なかなか読み応えのある本だった。とりわけ、「もの」と「こと」という語が持つ意味合いの探求は、生きのいい文体と相俟って、説得力がある。著者はこの先、「主語の思想」と「てにをはの思想」の対決という主題に向かうとのことで、楽しみだ。
1990年から福岡市でライオンとペリカンの会という集まりを持って、ちょうど20年。
当初は、文芸評論家・竹田青嗣さん(当時・明治学院大学教授、現・早稲田大学教授)の話を直接、卓話や講演形式で聴きたいという希望をもつ読者数人で始め、1990年8月から隔月1回で1年間(計6回)、「欲望とエロス──超越論的思想・哲学の可能性」という統一講演テーマのもと、竹田さんからお話を伺った。
6回終了後は、年2回、竹田さんと同世代の文芸評論家・加藤典洋さん、小浜逸郎さん、社会学者・橋爪大三郎さんに、竹田さんと一緒に、もしくは単独で来福していただき、色々なお話を伺ってきた。
2002年には、内田樹さんにも「〈他者〉とは何か──レヴィナスとラカン」というお話をしていただいた(この講演がベースとなり『他者と死者』〔海鳥社〕が生まれた)。
評論・思想・哲学の分野でのこのような定期的な催しは福岡ではあまり例がなく、きっと同じような思いを持つ人がいるのではないかということで、当初から一般募集をし、平均して二十数人、多い時で40人程(1995年、小浜・竹田両氏の「〈オウム的現代〉とは何か」)の参加者があった。
講演会は2004年以降開催していないが、もう少し短期・定期的に集まって様々な論議をしたいということで1994年から始めた読書会は、隔月開催、1回の休みもなく今年で17年目となった。
参加者はこのところ8〜10人、20代から60代まで、男女半々くらいで職業様々、遠くは長崎県雲仙市や鹿児島県日置市からやって来る熱心な人もいる。これまで延べ50人程の出入りがあったか。来る人・去る人、そして亡くなった仲間(福岡市草香江にあった古書店「雄朋堂」の主人・高田雄造さんについては、遺稿・追悼文集刊行会を作り『雨上がりの夜空に』を刊行した)。
以前は「ネットで見つけて、暇だから遊びに来た」というような「奇特」な初参加者もいたが、その点でこの10年程はやや寂しい。映画と本は、見終わった後、誰かと話したくなるものだ。若い人がもっと来てくれると嬉しいのだが。
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ライオンとペリカンの会・掲示板(読書会案内)
http://www2.ezbbs.net/06/raiperi/