■花乱の滝 |
金山は福岡市近郊で私が一番好きな山で、これまで20回は登っただろうか。数々の想い出がある。とりわけ味わい深いのは、「湧水千石の郷」(昔の「千石荘」)から金山─アゴ坂峠─水源池バス停へと歩くルート。上りは、杉林の中の道、沢のそばの道(この辺りは秋、向かいの斜面の紅葉が美しい)、そして尾根道と、ほぼ三等分されてバラエティに富み、下りはやや長いが、森影の中、静かな沢伝いの道が楽しめる。
山頂は、だいぶ以前に伐採が進み展望がよくなった。山頂もいいが、少し脊振山方向へ進むと、木立に囲まれた小さな広場状の所があり、日差しや風の強い時にはここで弁当を広げるのがお奨め。鳥の声や木漏れ日、登頂の充実感に浸ることができる場所だ。
そして、このルートをとると山道を下りきった所に待ち受けるのが花乱の滝。熊本広志氏の『九州の滝──100の絶景』(海鳥社)によれば、落差15メートル。どこか優しい表情をしているが、水しぶきはかなり広い範囲に飛散する。一説には、その水しぶきが花びらの乱舞のように見えることからその名が付いたと。特に夏場、下山後の汗まみれの体にはとても気持ちよく、立ち去りたくないほどだ。
なお、国道263号から車で行く場合は、その名も「花乱橋」たもと(滝標識あり)から山側へ入り、モーテル(があるのです)の傍を通って林道を上る。滝上の路側に数台駐車可。国道から5分程度だが、林道は少し狭いので要注意。
