■ちょっとZARD のことを |
design POOLの北里俊明さんから、今月21日より大丸福岡天神店で開催される「ZARD 20th YEAR展〜History of IZUMI SAKAI〜」のチラシと招待券をもらった。私のZARD好きを知ってのことで、このようなご厚意はとても嬉しい。私も新聞記事で気がついてはいたが、きっと日々のドタバタの中でそのまま忘れてしまっていたことだろう。
この十数年、車の中で(一人の時)はずっとZARDを聴き続け(夕暮れまでの時間に限りだが。ZARDは暗くなって聴くものではない)、坂井泉水からは多大な勇気や闘争心をもらってきた。別に〈負けないで〉の話ではなく、坂井泉水の持つまっすぐだけどどこか翳りのある歌声が、なぜかしら私を鼓舞する(この一年間もそうだった)。
そして、ようやく私が「よし、一度コンサートにでも行ってみるか」と思い始めた頃の、2007年5月27日、坂井泉水は少女の面影を湛えたまま、40歳で永遠に旅立った。とっくに〈ハイヒールを脱ぎすてて〉いた彼女が、その時、自分の〈運命のルーレット〉をどう回そうとしたのか、私には分からない。ただ私はその後、あの坂井泉水が40歳で逝ってしまったのなら、既にその齢より一回り以上の年月を生きてきた自分が、おめおめとした生を生きるわけにいかない、と思ってきた。
〈もう少し あと少し…〉というのは、縋りつくしかない気持ちを吐き出しつつ、“終わり” を覚悟した言葉でもある。マイクから時々顔を背けるような素振りを見せつつ、坂井泉水が歌い続けたのは、そのような〈揺れる想い〉だった。
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聞くところによると、ネット上での「一曲買い」が当たり前となり、若い人たちの間では、原曲の発表された時代に関係なく自由に音楽と出合い親しむ風潮が進行しているとのこと。ならば、まだまだ回顧展も開催されるほどだし、私がこれからも、古くは20年近く前に発表されたZARDの曲を自分用に編集したベスト版MDで聴き続けたしても、「変なオヤジ」扱いされないだろう……か。
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ついでにもう少し書くなら、私が聴きたくなるポップスはほとんどが女性歌手で、他の日本のシンガーでは(聴き始めた順序)露崎春女、障子久美、畠山美由紀、それに最近 “遭遇” して驚いたのが柴田淳(もう10年、シンガーソング・ライターをやっているらしい)。まあ、いずれも立派なマイナー歌手か。洋楽なら、マドンナ。
もし暇だったら、柴田淳の「願い」(『僕たちの未来』収録)を視聴してみてほしい。ただし、この曲では勇気も闘争心も沸き起こらない。
ZARDは勿論〈永遠〉(そういうアルバムもあった)だとして、何年かに一人でもいい、気持ちの奥底から揺さぶられる新しい “声/響き” との出会いがあれば嬉しい。
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【後日談】
その後私は、一度目は会場で放映されていた「ムービー」をしっかりと鑑賞できなかったこともあって、2回この展覧会に行った。
このムービーは、ファンには堪えられないものだった。二度目の時、このままズーッと彼女の姿を見ていたいと思った。そういう歌い手と新たに出会うことは、もうないだろう。
→花乱社HP