■四宮佑次個展「血の記憶」 |

私に予備知識はなかったが、廃校となった小学校を利用し現代アートを展示しているこの施設は結構知られているようだ。
山間の廃校といっても、木造校舎というわけではなく、外観は現在でもどこにでもありそうな代物。校庭から子供たちの歓声が聞こえてきてもおかしくない感じ。けれど、一旦校舎内に入るとそれなりの歴史を感じさせる。
入館料500円。館内レストランでのコーヒーか紅紫蘇ジュースが付いているとのこと。
四宮さんの展覧は2階の何教室かを使い、テーマ別に教室を区切っていた。スペースの関係からか、全体の点数はそれほど多くはないが、多岐にわたる四宮さんの関心の一端に触れることはできそうだ。
気になった写真が幾つかあったが、特に「波」の相貌を捉えた写真に惹かれた。薄暗い海、切っ先鋭く盛り上がった波の1カ所が、白い肌を晒して崩れ落ちようとする一瞬。
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旧講堂を利用したレストランでは、焼物や布、衣装、置物などが展示販売されている。コーヒーを飲もうと思ったが、いっそ昼食をとることに。特製野菜カレー。カレーの上にニガゴリが載っている。
講堂の格子窓も年季が入っている。だいぶ長い間磨かれてなさそうなガラス越しに見るツタ。
この施設全体、無造作なのがいい。今更小学時代に戻りたいとは決して思わないが、あの6年間のことが少し懐かしくなった。

