■霧の中の由布岳 |
湯布院─別府へ抜ける県道11号沿いの駐車場に車を止め(この点は便利がよい)、正面登山口からスタート。細い雨が降っている。
山裾に広がるなだらかな傾斜の草原(牧草地)は足慣らしにうってつけの場所だが、今日は視界20メートル程。この山にはおそらく20回位、金山(かなやま、脊振山系)の次によく来ているだろうが、特に正面ルートではこの取り付き部分の草原歩きがその魅力の一つであることを、雨に降られたからこそ再確認する。
森に入ってからは雨をそれほど気にせずにすむし、きつい登りはないが、道は長い。
次第に九十九折りの細道となり、スイッチバック式に幾度も向きを変えて斜面を進む。この辺りが由布岳のもう一つのポイントで、眼下にずっと由布院盆地や向かいの倉木山を眺めつつ歩くのは爽快なのだが、多分これは下山時までお預け。
それにしても、この天候の中でも登山者が多い。昼前なのに下って来る人もたくさんいて、道を譲り合う場面もしばしば。
傾斜がきつくなりしばらくして、双耳峰(そうじほう)鞍部の「またえ」に到着。風が強くて長居できない。
[またえ・下山時]

ここから東峰・西峰共、それぞれ15分。西峰へは崖登りがあるので、今日は東峰へ。一段と風が強くなり、体が浮くような箇所も。
意識的にペースを相当落として登ってきたが、出発から2時間ちょっとで東峰山頂へ。雨はほとんど止んだが、ここでも周囲の一部しか見えない。冷え込む中でも缶ビールは飲む。冷たい金属を少し触っただけでも手がかじかんでくる。
そそくさと下山。まだまだ人が登ってくる。
今日は眺望は無理かなと思い始めた頃、九十九折りの途中で、突然霧が薄れ始めた。
[由布院盆地]

[山路のミツバツツジ]

森に戻ると、雨上がりの木々の緑が殊の外美しい。ようやく山歩き本来の愉しさを味わえた気持ちになる。
草原に下り着くと、青空も覗いていて、高原は既にいつもの好天下の休日ムードでいっぱいだった。
振り返ると、山頂にはまだ雲がとぐろを巻いている状態。女性っぽいとも言える全容を撮って帰りたかったが、この日の雨雲はなかなかしぶとかった。
