■還暦同窓会──「異人」たちとの夏のひととき |
先生方を含め120人程が参加とのこと。会の最初に、亡くなった同期生への黙祷。予想していなかった30秒程の静寂の間──私はかすかに異次元への門を通過した気がした。それぞれどんなことを想っただろうか。
以降、ドドドーッと会は進行、最初こそ卒業時のクラス別に着席していたが、次第に往来が激しくなり、あちこちで談笑の輪ができている。
だが、ふと振り向いた横顔や特徴的な身振り手振り、男性陣の哄笑など……確かに覚えがある。ここでデジャヴュ(既視感)と言うのは当たらないが、次第に、そこにいる全員が総体として醸し出している──学年集会中の体育館のような──ざわめきを、自分はよーく知っているという感覚に浸ることになった。あちこち染みの取れない学生服や食堂からのカレーライスの匂いすら、今にも漂ってきそうだ。
それにしても、話には聞いてきたけれど、中にはもう孫が数人という人もいるだろう60〜61歳の男女が、これほどまでに無邪気になれるとは。みんな裃どころか、年齢相応に纏わりついているものすべてを脱ぎ捨てていたようだ。
還暦同窓会──これは不思議な場所だ。
さらに、今回の感想をFBに投稿すると、別な人からも一句届いた。
「船旅や三途の川も肩組んで」
そう、確かにあの時、大騒ぎの「仲間/旧友」たちを収容した体育館ならぬ大船は、今にも何処かへ向けて滑り出しそうであった。仮にそれが冥界への船旅だとして、「肩組んで」行くのならこれまた悪くないかも。
[修学旅行 1969年]
*2011年6月の同窓会記事→同窓会における、記憶喪失のリハビリ・レッスン
*2014年6月の同期会記事→小倉・紫川河畔での「還暦+1年」高校同期会
*2016年7月の同期会記事→高校同期会、そして命を謳う夕暮れ