■久し振りに宣伝チラシを作った──小林正明著『五木歳時記』 |
小林さんは現在、朝日新聞大阪本社の写真部長。前の会社に私が在籍時の2006年、『五木の詩』を手掛けさせていただき(当時小林さんは福岡本部勤務)、「2冊目もお願いします」ということで、8カ月前から取り組んできた(最初がスロー・ペースだった)。
詳しい内容は本の刊行時に譲りたいが、本書は、熊本県・五木村の各集落に伝わる多彩な行事・祭りを数年掛けて撮影、詳しい解説付きで紹介した写真集だ。大スキラ判変型(230×250ミリ)・モノクロ108ページ、ハードカバー、定価2625円。
新聞社の写真部長なので当然この分野に詳しいわけだが、小林さんによると、一地域の民俗行事を中心に取り上げた写真集も稀なら、全編モノクロームというのも最近ほとんど見掛けない、とのこと。
とても地味な世界ではあるが、この国に人が住んでいるのは勿論東京他の大都市だけではないのだし、どれほど寒村僻地(という言い方自体が失礼かも知れないが)であれ、そこにはやはりそれぞれの風土と歴史に根差した営みがあり、そうした村の一つが持つ “宇宙” を写真記録に留めておこうとすることには大きな意味があるだろう。
横浜市生まれの小林さんが、初めて五木村の地に立ったのが2002年。以来、「記憶だけになる前に記録しておかなければ」という想いで通い詰めてきたとのこと。仕事上でないにしろそれこそ新聞記者の取り組みのことでこう言うのも何だが、こうした地道なフィールドワークにも相応の光が当てられればいいな、と思う。
