■榊晃弘写真集『中国の古橋』の装丁 |
カバー両面を、帯を巻いた状態で掲げておこう(なお、少し前に、本文から十数点の写真を選んで紹介した。→紀元前からの中国の橋──榊晃弘写真集『中国の古橋』)。
●カバー表(写真・上から)
【太平橋】
浙江省紹興市紹興県柯橋鎮阮社〈浙東古運河、蕭興運河〉
明代の1622年に創建、清代の1858年に重修。全長50m、幅3.5m。アーチ橋と桁橋を組み合わせた多径間の代表的な橋。
【如龍橋】
浙江省麗水市慶元県挙水郷月山村〈挙渓〉
明代(1368~1644年)初期に創建、明代末の1625年に修建。現在、全国で最長寿命の木造廊橋(風雨橋)。橋の形は、宋代の960~1127年に「清明上河図」に表現された河南省開封市(北宋の都であった)の汴水虹橋に似ている。全長28.2m、高さ6m。国指定重要文化財。

●カバー裏
【盧溝橋】
北京市豊台区〈永定河〉
金代の1192年に、3年の歳月をかけて完成。全長266.5m、幅7.5mの11連アーチ橋。橋周辺は公園として整備され、内外の観光客が訪れている。両側欄干の281本の望柱上に様々な姿態を見せる石造獅子が501個も載っている。雄は毬(まり)で遊び、雌の体には子獅子がまとわりつき、変化に富んだ姿はまるで生きているようだ。その他橋東端にも大獅子、西端には象の姿も見られる。橋が完成しておよそ100年後にここを訪れたイタリア人の旅行家マルコ・ポーロは、『東方見聞録』に「世界でまたとない最高の橋だ」と記している。国指定重要文化財。

榊氏は、1999年から現地調査を始め、2010年3月から2014年4月までの間、16省・3特区(北京市・上海市・天津市)・1自治区(広西チワン自治区)を駆け巡って撮影取材。総移動距離は57000キロ(地球1周以上)という。取り上げた橋は165カ所、写真240点を収録。
榊氏は80歳。この2カ月間に限っても、打ち合わせや校正の受け渡しなどで、おそらく20回は小社を訪れていただいた。「良い写真集にしたい」という熱意と努力、そして行動力は尋常ではない。
来週は本番印刷の立ち合いだ。まだ気を抜けない。
●ご注文は→花乱社へ