■榊 晃弘写真集『中国の古橋』に寄せられた声 |
●読者カードや振替用紙通信欄にて寄せられたコメント
[撮影:design POOL]

*男性(福岡市)
待ちに待ったでした!
北京や上海に気軽に行ける時代ですが、人の生活に真に必要な橋を個人的に体験(渡る、見る)することは不可能に近いことを、このように写真集で学習、楽しむことができます(本代で5000円は安価!)。
調査・撮影、時間の苦労は大変だったろうと思えます。いやはや有難いことです。
“名もなき民衆の所産”──片寄俊秀氏のコメントにナットク。
*男性(東京都)
物だけではなく心もつなぐ橋は平和の象徴。
戦争で幾多の橋が破壊されました。
写真集の橋はいつまでも守り続けられることを願っています。
*女性(東京都)
中国の石橋が腕のいい榊さんお撮影で、素晴らしい美術品にみえる写真集の上梓、おめでとうございます。
多くの人にわたるよう願っています。
*男性(熊本市)
広大な中国の古橋に挑戦された榊さんの熱意に脱帽です。
リブアーチの他にセグメントアーチの橋も多いのですね。多謝。
*男性(福岡市)
どの一枚からも「橋」に向かい合った作者の心のときめきと練達のワザが伝わって来ます。榊さんの永年のご精進が、みごとに結実されたことを心からお喜び申しあげます。
私も福岡の民放(会社は別)に勤務していて、担当の番組に[榊さんに]出演していただいたこともありました。その時の話に──貴重な休日を利用して、朝一番の新幹線で撮影に出かける。お目当ての「橋」の前にカメラを据え、周辺の夾雑物(ごみ)を払ったりして、じっとシャッター・チャンスを待つ。しかし、イメージした条件(光線具合など)が整わず、むなしく持参したお弁当を食べて、夜の新幹線で帰ってくる……。
今回の撮影後後記と読み合わせて、通底する映像の狩人のねばりと執念に居ずまいを正される思いがしました。中国の夾雑物は、掃除のし甲斐があったろうなァ……。
益々のご発展を陰ながら見守っております。
*男性(太宰府市)
橋という文明型のツールが、地域の風景と暮しの中で文化としての固有性を持ち、それぞれに美しさを持っていることに感動しました。いいお仕事をされてうらやましいなと思っています。
*男性(古賀市)
いい本を出して頂いて有難うございました。
日中友好につながる出版です。
*男性(福岡市)
歴史と美しさに感動しています。
*女性(福岡市)
私が誇りに思っている榊様、今回は予想以上の力作に感服。
中国の友人(北京・瀋陽・青島出身者)にプレゼントします。彼らの反応が楽しみです。
ちなみに、榊さんによると、橋や土木の専門家と一般の人との区別なく、皆さん一番驚かれるのはこの橋らしい。
●三十六丁歩石荐橋
浙江省臨海市白水洋鎮下宅行政村〈黄坦坑〉
1911〜20年に架橋。全長22m、幅2.7m、高さ6.1mの八字形石梁橋。

●新聞紹介記事(ネットから転載)
*「西日本新聞」3月20日付(読書面「本と人」コーナー)
圧倒的なスケール、人々の夢──榊 晃弘さん『中国の古橋 悠久の時を超えて』
河の流れをまたぎ、両岸の人々の生活をつなぎ、跫音(あしおと)を聞き続けてきたからだろうか。古橋にはそこはかとなく人の歴史が薫り、風格も漂う。
このほど、紀元前創建の橋から清代の橋まで中国の代表的な古橋165カ所を撮影した写真集を刊行した。2010年から、1回2週間、計10回にわたって、北は遼寧省から南は広東省、西は四川省まで中国16省、3直轄市、1自治区を取材。その地の古橋を架橋年代、所在地、構造などの解説文とともに紹介する存在感ある写真集だ。
「中国の橋を取材して思ったのは、その圧倒的なスケールでした。全長411メートルで23連もある石造のアーチ橋の『万年橋』(江西省)をはじめ、舟をロープで牽引するため運河の中央に設置された全長3.5キロの舟引き橋の『避塘橋』(浙江省)など、私の想像を超えていた」
ただ、取材は難航した。中国の橋についての情報は乏しく、数少ない現地の文献を取り寄せ、信頼できるガイドと綿密に打ち合わせ、広大な国土から被写体を絞った。最寄りの都市まで飛行機や鉄道で移動し、その先はレンタカーを利用、時には1日の走行距離が740キロに達した。
写真集には、日中戦争勃発の地に架かる世界一美しいと言われる盧溝橋(北京市)をはじめ、中国現存最古とされる趙州橋(河北省)などの橋から、峡谷にかかる木造アーチ橋、庶民の暮らしを支えてきた屋根のある風雨橋、つり橋、沈下橋など多様な橋が収められ「それぞれの橋に人が足で歩いた温かみ、時代を超えた美や品格、架橋に携わった人々の夢や熱意を感じた」と語る。
1935年、福岡市生まれ。地元放送局勤務時代から写真撮影をはじめ、これまで装飾古墳や眼鏡橋、スペイン・ポルトガルなど南欧の石橋など「名もなき民衆の所産」にレンズを向け、7冊の写真集を刊行している。
中国の橋を取材するきっかけは、九州に多い眼鏡橋のルーツを解明したいとの思いからだった。「このアーチの石組みは中国の技術だろうか、それともヨーロッパだろうか、と疑問が湧いた。でも関係の文献がない」。それならと、南欧から現地に古橋を訪ねはじめた。
今回の旅でも、眼鏡橋のルーツは確認できなかった。「いつかそれを突き止められれば…とにかく古橋がいとおしい、です」 【藤田 中】
*「毎日新聞」3月27日付(文化・芸能欄)
自然と歴史の美165カ所──福岡の榊さん『中国の古橋』刊行
福岡市の写真家、榊晃弘さん(80)が『中国の古橋 悠久の時を超えて』(花乱社、5616円)を刊行した。中国各地165カ所の橋をカラーで紹介。日本とは桁外れの多様性とスケールの大きさが印象的。「どれも自然と一体となった生活の橋。中国の広大さを再認識した」と話す。
九州の眼鏡橋に興味を抱いていた榊さん。1972年ごろ、写真家の土門拳さんから「眼鏡橋のルーツを探ってみては」と助言され、「世界の橋梁王国」といわれる中国に注目。10〜14年、2週間の取材旅行を10回行った。レンタカーの走行距離が700キロを超える日もあった。古橋以外にも廓橋(風雨橋)など中国の橋梁史上欠かせない橋も射程に入れ、合計、約300カ所を取材した。
「平越古城橋」(1381年)は外敵の侵入を防ぐ城壁が特徴。「避塘橋」(1642年)は全長3500メートルの石梁橋。榊さんが取材した中で最長という。「単橋」(1629年)は文化大革命の際、近衛兵に壊されかけたが、住民がとっさの機転で毛沢東語録を橋の欄干に書いて破壊を免れた。
榊さんは「それぞれの橋に歴史がある。均一化されたものはありません。人の営みの中から生まれる温かさにひかれる。中国の橋のおかげで自然への畏敬の念を深めた」と話す。現在は日本全国の巨樹を取材中だ。 【米本浩二】
参考→紀元前からの中国の橋──榊晃弘写真集『中国の古橋』
榊晃弘写真集『中国の古橋』の装丁
[4/1最終]
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