■花や木を見ること、雲や空を見ること──ハウス・テンボスに初めて行く |
「世界的巨匠の大作や海外コンテスト優勝者たちの作品が大集結!」という触れ込みどおり、「花」のほうでは、活け花とは異なるアートっぽい作品がなかなか面白かった。
馬の上半身を表現している。
だけど、やはり花は、生のを屋外で見たい。こうした場所で花を見て「自然」と言うのは錯誤だろうけれど(「ショーガーデン」の一部となっている植栽もあった)、ゴージャスかつ不自然な「活け花」を見た後では、近寄るだけで、生き物としての懐かしさに気持ちが浮き立つ。
言うまでもなく、花(自然)は人間の美意識のために装いを凝らしているのではなく、人間の美意識こそが自然界の美を範型(モデル)としている。つまり私たち人間も、生存や種族保存など元々生き物に備わっている本能自体から如何ほども飛び立ててはいないのだ。
だからこそ、美しくありたい──ただそう志向し、目掛けることだけに、個としては意味がある。
「パレス ハウステンボス」の前庭では、トップ・ガーデンデザイナーたちによる「ショーガーデン」の他、自宅の庭やベランダの演出の参考にもなるということで好評らしいが、「バルコニーガーデン」が展示されていた。
「バルコニーガーデン」は、バルコニーという額縁的なスペースの中での表現を競うもの。世界各国の造園デザイナーたちが提出したデッサンに従い、地元他の造園関係者がバルコニー花園を現実化させたものだが、それぞれの国柄や風土を感じさせられて面白い。
「ショーガーデン」の作品はこんなふう。
「ショーガーデン」の中で一番気に入ったのは、リム・イン・チョング氏(マレーシア)の「子宮(The womb)」と題された庭。
そのコンセプトは「子宮は流れの中に浮かんでいる子どもにとって穏やかな夢に包まれた安心できる場所です。この庭は地球の子宮を創ることを試みています。草花や竹が植えられた小さな丘には通路があり、それはその丘自身に囲まれているとても穏やかな空間へと繋がっています。深く物事を考えるための空間です」と。
竹林やその他の草花に囲まれた実に小さな丘とその中心部にある祠のごとき窪みに気持ちが落ち着くなんて、今更ながら自分の中のアジア人を想った。それにしても、子宮は「深く物事を考えるための空間」なのか……。
さらには、「子どもにとって穏やかな夢に包まれた安心できる場所(=母体)」や子供の存在そのものを消し去ろうとする輩どもが居ることを思い起こす。この現代でも(あのヨーロッパにおいてすら)平気でジェノサイド(大量虐殺、民族浄化)が行われているのは──人類が結局のところ一切進歩しないこと、いずれ地球上から滅び去る定めにあることの、悲しい証左ではないか。
何しろ今や、世界は「トランプ博打」の瀬戸際にある。
一応、ハウス・テンボスのアイコン、タワーシティの偉容も掲げておこう。そういえば、地上80メートルにあるとの展望室に登り忘れた。
ちょっと覗いた「ホテル・ヨーロッパ」のロビーでは、ティータイム・コンサートが開かれていた。
ライトアップ時間の前に引き上げる。今日の雲とも別れを告げよう。
自分への土産、ホテルヨーロッパで購った絵葉書。どんな取り上げられ方であれ、私はメリーゴーランドを無視できない。
全くのついでながら、これまでこのブログで触れた2カ所のメリーゴーランドを並べておこう。
●2013年9月 イタリア・フィレンツェのメリーゴーランド
→イタリアの光と影──ローマ・フィレンツェ・ヴェネチア・ミラノ1週間の旅
●2015年5月 ハノイのメリーゴーランド
→“東洋のパリ” はスクーター・サーキットだった──2〜6日・ハノイの旅
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以下、最近遭遇した夕暮れ。
●24日 下関
ついでに、物議をかもすだろう「路上アート」。
●29日 天神・駐車場脇
小社入居ビル1階
個人的には結構、こういうの好きなんだけどね……でも勿論、自宅の壁などに描かれると頭に来るだろうな。
[11/17最終]
●追加:随分後日の2017年5月22日
やはり天神の路地