■我が故郷・我が母校──反骨の系譜、そして週替わりの夕暮れ[1/26] |
パネリストは他に、九州大学名誉教授石川捷治氏、監督の児玉公広氏、司会はこの映画のプロデューサー西谷郁氏。
葉山は、1894年、福岡県京都郡豊津村(現・みやこ町)生まれ(1945年没)。プロレタリア文学の代表的な作家の一人である。この映画は、郷里のみやこ町、北九州市、行橋市、田川郡赤村、そして九州大学でオールロケをしたとかで、今こそ「地方」や「郷土」を見直し、町おこしをしようという現代的なメッセージも込められているようだ。
葉山と同じみやこ町出身で豊津中学校(現・育徳館高校)の先輩に、社会主義思想家の堺利彦(1871〜1933年)、夏目漱石の門下生小宮豊隆(1884〜1966年)、小倉出身だが同窓の後輩として『コシヤマイン記』で第3回芥川賞を受賞した鶴田知也(1902〜88年)がいる。
シンポジウムでは、こうした「反骨」や「反権力」の土壌としての京築(地域)→小倉(藩)の話になっていった。長州戦争で敗北した小倉藩は、香春→豊津へと藩庁を移していった。「何しろ小倉が戦って負けた長州が、今でも権力を握っている……」というような発言も飛び出した。
ともあれ、「京築→小倉」という土地柄的な脈絡は、そのまま私の出自(父は吉富町、私は八幡生まれで小倉育ち)に重なってしまう。
実際に小倉人に「反骨」で「反権力」の人が多いかどうか……それは微妙な気がするが、私にとっては面白い話ではあった。
上映会+シンポジウムは3月25日にも同図書館で予定されている。また、これから順次、北九州地区他でも上映会を行っていきたい、と。
→ある女工記──葉山嘉樹小説映画化プロジェクト公式ホームページ
→「淫売婦」全文はネットで読める→「淫売婦」
参考記事→花乱社選書、2冊同時刊行
『葉山嘉樹・真実を語る文学』の感想が届いた
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●『ある女工記』チラシ
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法政大学が、軍事研究を行わないとする指針を制定し、防衛省の研究費への応募は「当分の間認めない」と決めた、という報道がなされている。
「法政大学における研究の推進と学外機関等との研究活動・研究交流に関する指針」(「軍事研究・デュアルユース(軍民両用)研究等に関する本学の対応について」)には
真理の探究に努め、国際平和と持続可能な地球社会の構築に寄与する活動を行うものとし、軍事研究*1や人権抑圧等人類の福祉に反する活動は、これを行わない。
[注記:*1 ここでいう軍事研究とは、武器・防衛装備品の開発、またはそれへの転用を目的とした研究を指し、政治学、平和学等における戦争や軍事を対象にした研究までを含むものではない。]
とある。実にきっぱりとしている。
私と大学同級の田中総長がコメントを出している。
田中優子総長のコメント
本学は、個々人の学問の自由を守ることを重要視しており、これからもそれを徹底します。しかしながら、そこに所属する研究者の自由を、世界中に生きる市民の命や人権や環境に優先させる考えは持ち合わせておりません。
本学は大学憲章で、「自由を生き抜く実践知」の育成を約束しています。この「自由」とは、全世界の人々の自由を意味しています。一方が他方の自由を奪うことで自らの自由を保持しようとする態度に与さず、多くの人々がそれぞれの立場で自由を生き抜くことのできる世界の創造への貢献をめざしています。
憲章の精神にのっとって教育研究をおこなうのが本学教員の使命であることを、この指針の策定過程で確認し、合意に至りました。
本来、高等教育の質を高めるために必要な予算は公的に保障されるべきところ、大学に対する国の補助金は削減され、とりわけ私立大学あるいは理工系の研究環境は、到底十分とは言えません。研究当事者のみならず、研究開発を支える大学も、当然のことながら潤沢な研究費を渇望しています。
しかし本学の教育・研究の目的は何か。社会と世界に対してとるべき大学としての責任は何か。そこから考えたとき、人命の収奪と人権の抑圧をもたらす道具やその稼働システム、および、人命の収奪と人権抑圧の最たるかたちである戦争を目的とした武器等の研究・開発は、本学が使命とする持続可能な地球社会の構築の対極にあり、これに関与するのは、本学の存立基盤をゆるがすことになります。
本指針は、そのような考えによって、策定されたものです。私立大学それぞれの精神を大切にし、その多様性のなかで我が国の教育・研究がおこなわれますことを、願っております。
硬軟入り交じった表現ではあるが、言葉や人間に対する信頼とその気宇において、安倍晋三如きの志操とは全く由来が異なることは誰の目にも明らかだろう。
まさしく我が母校も「反骨」・「反権力」の学府だった。ちなみに、大学令後の法政大学初代学長・松室致(まつむろ・いたす)は小倉藩士の息子である。
参考→70年経ての「謝罪告白」──西南学院の平和宣言
松下圭一と松下竜一
[書き掛け]
●1月26日
下関市へ出張した帰り、車中から撮影した夕暮れ。
![■我が故郷・我が母校──反骨の系譜、そして週替わりの夕暮れ[1/26]_d0190217_21474259.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201701/29/17/d0190217_21474259.jpg)
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