■もっと燃えろ──週替わりの夕暮れ［2/12］

冷たく頬を刺す風。歩くには絶好の季節。
西空にどでかい空母のような雲が浮かぶ。
明るい不穏が漂っている。

照り返しを受けた東側もいい色合いだ。
茜色の空の下、ちんけで、切なくも愛おしいそれぞれの暮らしが営まれているはず。

西空に視線を戻す。
邪魔なような、効果的なような雲の存在。
いや、最強の敵こそが、最高に燃やしてくれるのではなかったか。

跳梁する雲の向こうに、今宵も金星が。
もう一度言おう、何と心安らぐ不穏さ──もしくは不吉さえも引き連れてなお温かい夕闇。