■今、知恵を何に使うのか──週替わりの夕暮れ[5/13・14] |
●ババアとジジイの存在が
「文明がもたらしたもっともあしき有害なものはババアなんだそうだ。女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪ですって」とかつて発言したのは、石原慎太郎元都知事。当然のことながら大きな反発を引き起こし、女性グループによる訴訟に発展した。裁判所は発言を不用意としたものの、名誉毀損とまでは認めなかった。
オランウータンやアカゲザルには更年期があり、シャチやクジラの一部には閉経後も生きる種がある。とはいえ、生殖期間が終わった後、30年にわたる長き「老後」(オスを含めて)が存在する生物は確かにヒトだけ。しかしこれは決して無駄でも罪でもない。進化史上、有利だったからこそその特性が保存されたと考えなくてはならないからだ。
その有利さとは何だったのか。おそらくは、次の世代が子育てをするのを手伝い、経験や知恵・知識を、──遺伝子とは別のかたちで──、手渡すことが、ヒトが生き延びる上で欠くことのできない価値をもっていたのだ。
つまり、石原氏の発言はむしろ逆で、ババアおよびジジイの存在がもたらしたものこそが文明だったのである。そして問題の所在は、3・11以降、その過度の発展が、ブーメランのごとく、自らの存在を脅かすまでにリベンジを開始してきたところにある。真の知恵が試される時がきた。
何にでも(進化の歴史の上で)「そうなった」ことの根拠があるとする進化論は、ある種断定的な決定論だったり後知恵的な説明に思えたりすることがあるが、「ババアおよびジジイの存在がもたらしたものこそが文明」という観点は卓抜なだけでなく、「生き続ける」ことへ勇気も与える。
「そして問題の所在は」以降は現代日本論になっているが、3.11以降、それこそ思惟や思考を停止・風化させず、「真の知恵が試される時がきた」と今でもまともに考えている日本人は、一体どれほど居ることだろう。日本国憲法や基本的人権(共謀罪)を弄んでいる時ではないはず。各々、本来の仕事をしろ、ってなもんだ。
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風が心地よい夕暮れ。
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コオロギたちが、あちこちでだいぶのさばってきた。
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実際はもっと穂先は輝いていたのだが。
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むしろ空の蒼さが胸に沁みる夕暮れ。もう少しだけ歩こう。
![■今、知恵を何に使うのか──週替わりの夕暮れ[5/13・14]_d0190217_2225268.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201705/14/17/d0190217_2225268.jpg)
●5月13日
事務所入居ビルから。
![■今、知恵を何に使うのか──週替わりの夕暮れ[5/13・14]_d0190217_22255780.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201705/14/17/d0190217_22255780.jpg)
[書き掛け]