*このブログは、図書出版花乱社の[編集長日記]です。HPはこちらへ→http://karansha.com/
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2017年 12月 09日
■榊晃弘氏が福岡県文化賞受賞──写真集『中国の古橋』より精選紹介
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写真家の榊晃弘氏が第25回福岡県文化賞を受賞された。写真家の受賞は初めてとのこと。 福岡県をはじめとする九州・沖縄地方の歴史と伝統に支えられた町並みや橋を撮影し、消えゆく伝統ある町並みや暮らしの文化が歴史的、文化的な宝であることをその作品発表により示してきた。自身の創作活動を続ける傍ら、福岡県美術協会の理事や理事長などを歴任し、美術分野の振興に尽力。氏の永年にわたる多彩な活動は、本県における歴史と文化の保存・研究、そして、県民文化の向上に大きな貢献を果たしている。 というのが受賞理由。贈呈式&記念イベントが、来年1月22日に行われる。 榊氏にはこれまで8冊の写真集がある。
・『装飾古墳』朝日新聞社,1972年・『装飾古墳』泰流社,1977年・『眼鏡橋』葦書房,1983年・『九州・沖縄 歴史の町並み』東方出版,2001年・『薩摩の田の神さぁ』東方出版,2003年・『ローマ橋と南欧石橋紀行』かたりべ文庫,2006年・『万葉のこころ─筑紫路逍遙』海鳥社,2008年・『中国の古橋──悠久の時を超えて』花乱社,2016年 このうち私は『中国の古橋』と『万葉のこころ』を手掛けさせていただいた。
その『中国の古橋』がもう残部僅少(きんしょう)だ。今回の受賞でどんどん注文が来ることはないと思うが、近々品切れ必至で、いずれ中国の代表的な古橋をカラー写真で収めた貴重な資料となることだろう。 一方、少し前に、中国の出版社から翻訳出版したいという話が舞い込んできた。いつかそうなればいいですね、と榊さんと話していたので、これは嬉しい話だ。この執念の結晶と言うしかない橋の写真集には、本国の読者もきっと驚くはず。 本書の内容を刊行直後にブログに纏めていたのだが、他のことをやっている時にうっかり削除、いつか「復元」したいと思ってきた(けれど、何事も「その渦中の想い」はやはり再現できない)。 以下、この機会に、私が気になる橋を登場順にピックアップしておこう。説明文も写真集より。実に多彩な中国の古橋の姿を楽しんでもらいたい。 ネット上で大盤振舞(正しくは「椀飯(おうばん)振舞」と書くらしい)しすぎかとも思うが、とりわけ「写真集」は “紙” で見てこそ。もし気に入ったらお早めにご注文を。→花乱社HP 参考記事→ “紙” の写真集のために ●太平橋 浙江省紹興市紹興県柯橋鎮阮社〈浙東古運河,蕭興運河〉明代の1622年に創建,清代の1858年に重修。全長50m,幅3.5m。アーチ橋と桁橋を組み合わせた多径間の代表的な橋。 ●双林三橋
浙江省湖州市南潯区双林鎮〈市河〉明代(1368~1644年)から清代(1644~1911年)に架けられた,ほぼ同じ大きさ(全長46~51m,幅3.2~3.5m,高さ6.6~7m)の三つの3連アーチ橋(手前から万魁橋,化成橋,万元橋)が並んでいる。 ●酒橋
浙江省紹興市越城区東浦鎮〈鵞池〉清代(1644~1911年)に架橋。全長10m,幅2.5m,高さ3.5m。 ●三十六丁歩石荐橋
浙江省臨海市白水洋鎮下宅行政村〈黄坦坑〉1911~20年に架橋。全長22m,幅2.7m,高さ6.1mの八字形石梁橋。 ●古洞橋
浙江省寧波市鄞州区横街鎮新洞山村〈庄家渓〉別名・翠山寺橋。宋代(960~1279年)に創建。全長30m,幅4m,高さ15m。参道橋として架けられていたが,道路工事のため,1.5km離れた現在地に移設された。小雪の舞う中で撮影。 ●阮社繊道橋
浙江省紹興市紹興県柯橋鎮阮社〈浙東古運河,蕭興運河〉別名・官塘橋。晋代(265~420年)に創建,唐代の815年に重建,清代の1862~74年に再建。蕭興運河に並行して架けられた全長386m,幅2.5mの舟曳き橋。この運河は幅が広く,運河を溯る船が風や波の影響を受けやすいため,人がロープで船を引っ張るために造られた橋。 ●宝帯橋
江蘇省蘇州市呉中区京杭大運河と澹台湖の間〈玳玳河〉俗称・舟曳き橋。唐代の816~19年に創建,明代の1442年に重建。全長317m,幅4.1m,53連のアーチ橋。京杭大運河と澹台湖が交差する所の運河上に,運河と並行して架かっている。当時,首都長安へ向かう王室の穀物船が運河を溯る際,向かい風の影響受けるので,人がロープで船を引っ張るために造られた橋。 ●卞橋
山東省済寧市泗水県泉林鎮卞橋村〈泗河〉紀元前690年(春秋時代)に魯国宣公により創建。その後各王朝時代に架け直し,現在の橋は金代の1181年に重建,明代の1581年に重修。全長25m,幅6m。 ●趙州橋
河北省石家庄市趙県〈洨河〉 別名・安済橋。隋の590~99年に着工,605年頃に完成した。趙州橋公園内にある。全長50.8m,幅約10mの美しい弓型アーチ橋。アーチを内側から見上げると,やや細長い石を縦に積み上げて28列を束ねたリブアーチ構造になっている。またアーチの外側には,石と石がずれないよう腰鉄と呼ばれる鉄のクサビも使われている。唐から清代にかけて12回の大地震に見舞われながら倒壊することなく,架橋時の姿をほぼ留めている。当時の名工李春,李通などによって架けられた中国を代表する銘橋。国指定重要文化財。 ●涿州永済橋
河北省涿州市涿州城北〈拒馬河〉俗称・大石橋。明代の1574年に創建,明代の1588・1626年,清代の1760年にそれぞれ修繕。全長153m,幅8.5m,高さ4.2mの長大アーチ橋。遼寧省の瀋陽から北京の南へ向かう昔の幹線道路沿いには,この橋を含めて三つのアーチ橋が架かっている。国指定重要文化財。 ●井陘橋楼殿
河北省石家庄市井陘県蒼岩山 隋代の581~600年に架橋。蒼岩山山頂の福慶寺境内にあって,橋の高さは谷底から70mもある。橋の上に間口9m,奥行き5.4mの楼殿が載っている。橋は創建以来,一度も修理されたことがないといわれている。 ●盧溝橋
北京市豊台区〈永定河〉金代の1192年に,3年の歳月をかけて完成。全長266.5m,幅7.5mの11連アーチ橋。橋周辺は公園として整備され,内外の観光客が訪れている。両側欄干の281本の望柱上に様々な姿態を見せる石造獅子が501個も載っている。雄は毬(まり)で遊び,雌の体には子獅子がまとわりつき,変化に富んだ姿はまるで生きているようだ。その他橋東端にも大獅子,西端には象の姿も見られる。橋が完成しておよそ100年後にここを訪れたイタリア人の旅行家マルコ・ポーロは,『東方見聞録』に「世界でまたとない最高の橋だ」と記している。国指定重要文化財。 ●登封橋
安徽省休寧県斉雲山鎮岩前村(斉雲山北側)〈横江〉明代の1587年に創建,清代の1718・88・91年に重建。全長148m,幅8m,高さ21mのアーチ橋。 ●洛陽橋
福建省泉州市洛江区蔡襄路〈洛陽江〉別名・万安橋。宋代の1059年に,6年8カ月の工期をかけて洛陽江河口に完成。全長834m(架橋当時は約1200m),幅7m,1径間ごとに長さ11mの長い石の梁を7本並べた47径間の石桁橋。牡蠣の繁殖を利用して石積み橋脚の崩壊を防いでいることから,今でも橋の周辺で牡蠣を採ることはできない。この石橋が完成するまで,ここは浮橋による渡しだった。国指定重要文化財。 ●安平橋
福建省泉州市安海鎮〈安海鎮と南安水頭鎮の間の海湾〉橋の全長が五華里(一華里は0.5km)あることから別名「五里橋」とも呼ばれる。宋代の1138年に着工,14年後に完成。構造は洛陽橋を模倣したといわれている。全長2070m(架橋当時は約2500m),幅3~3.8mの長大石桁橋。通行人のため,橋の途中に五つのあずま屋が設けられている。橋脚の型は水深によって長方形,半舟型,両舟型に分かれている。当時の泉州は貿易都市として繁栄し,多くの橋が架けられた。国指定重要文化財。 ●東関橋
福建省泉州市永春県東関鎮東美村〈湖洋渓〉南宋代の1145年に創建。全長85m,幅5m,高さ15m。閩南特有の廊橋(風雨橋)。閩は福建省の古称。 ●万年橋
江西省撫州市南城県万年橋村(塔山の麓)〈盱江〉清代初期の1647年に創建。明代末の1633年までは浮橋だった。清代の1724年と1887年に修復。全長411m,幅6m,高さ20m,23連の中国最長のアーチ橋。 ●祝聖橋
貴州省鎮遠県城東中河山・青龍洞風景区〈舞陽河〉原名・渓橋。明代の1369年に創建,清代の1723年に修建。全長135m,幅8.5m,高さ14m。国指定重要文化財。 ●程陽橋
広西チワン族自治区三江トン族自治県林渓郷程陽村〈林渓河〉1916年に架橋。全長64.4m,幅3.4m,高さ10.6mの廊橋(風雨橋)。この侗(トン)族地区には多くの風雨橋があるが,その中でも代表的な傑作。侗族建築の特色として,この橋には一本の釘はもちろん,一個の金属部品も使われていない。すべての組み木のつなぎはほぞ接合の方法がとられている。使われている木材はすべて地元産の杉。国指定重要文化財。
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