今田淳子展「心的消化のための、あるいは初めの花」。
10畳程度の展示場。一歩足を踏み入れて驚き、けれどあと2歩しか進めないほど、床から壁、天井まで、彩色された和紙で溢れ返っている。


INTERNAL FLOWER
心的消化のため、あるいは初めの花今田淳子
今回私が奏でたかったものは、和紙に染料の滲みと垂れ、金網、スプリング、毟り取る、丸める、壁に打ち付けるという素材と行為の日々の戯れ(スケルツオ)をもとにした即興曲であり、事前周到な調和を予定したものではなく、不協和音のコインシデンスから広がるものであった。 以前から気にかけていたこと。私たちが形をなす前から皮膜の耳を通して攫んだもの。 近年目をそらしていたこと。受けた心の痛みの情報と記憶。 それらを手繰り寄せ、目を凝らすことによって触れた景色である。 (ギャラリー入り口の掲示)
この造形作家は言葉の人でもある。コインシデンス(coincidence)というのは「偶然の一致」だとか「共振」といったことらしい。「誰かに似ている」という言い方は基本したくないが、いやが上にも小林重予さんのことを思い出してしまう。coincidence の如く。→『鬼のいる庭』から旅立った小林重予さん
