ダンス 加藤典洋
耳を澄ますと
一つのリズムが聞こえる
何かの棒で
何かの板を叩く音
いやそうではない
あれは
人の足が
大地を叩く音
大地には
草が生えていて
その先が震えている
どこにも行き場がなくなったら
ダンスせよ
鉛の箱が
密閉
鎖錠されて
マリアナ海溝を沈んでいく
あれは
哀れ 脱出に失敗した
世紀の大魔術師フーディ二
でも耳を澄ますと
もう出られない鉛の箱から
同じダンスのリズムが聞こえてくる
どこにも行き場がなくなったら
そこで
ダンスせよ (2019/1/9)
晩酌は勿論別として、このところの楽しみは、だいぶ閑散となってきた朝・夜の道路を、「BOLT」のエンジンを吹かして80kmで駆けること。
信号待ちから真っ先に飛び出て、見る間に100m突き放しても、すぐまた次の信号に捕まるだけなのに……飛び出して行かないバイクなんて、BMWが追いかけて来てたまさかの競い合いもしない道路なんて。
*
●4月8日近所の公園で、もうこれが今年最後……なんて意識もなくて撮った桜。
人間世界の憂愁とは無関係に、いや、だからこそか……やはり今年は桜が華麗に見える。
春川 浅き瀬に転びまろびて流れ来る 枝もさくらの花ざかりかな 大隈言道
花盛りのまま川を流れて来る手折られた桜──美しくて哀しい豪勢。
●4月12日ちょっと見ぬ間に、我が家のブルーベリーは順調に花を散らせただろうか。(病いに冒されない)実りを待つ。
ぐずついた曇天に夕暮れウォーキングを諦める。この忌々しさをどうしてくれようと見上げた空に、山法師の若葉が。
どこにも行き場がなくなったらそこで
ダンスせよ
