雲
八木重吉
くものある日 くもは かなしい くものない日 そらは さびしい
──『秋の瞳』(1925年)所収
●3月13日
今日はどんな夕暮れに出会えるだろうか──それが2時間ウォーキングの楽しみ。予告の一光景。
思いがけず5時から雨がポツポツと。
これはてっきり水墨画のグラデーションを味わう夕べだと思った。
単色でも雲はこんなにも多彩。
桃の花か。
池の傍にある広大な私有地内。
以前、今時分より少し後か、採取中の筍を分けてもらったことがある。
白木蓮。
花びらが落ちると音がしそうだ。
春
八木重吉
春は かるくたたずむ
さくらの みだれさく しずけさの あたりに
十四の少女の
ちさい おくれ毛の あたりに
秋よりはひくい はなやかな そら
ああ きょうにして 春のかなしさを あざやかにみる
──『秋の瞳』(1925年)所収
ここでいつも思うことだけれど、確かに、低い雲があることでより空の奥行きが感じられる。
今年初めてのコオロギの声に送られて引き上げる。
今日も全力で歩いた。
●3月10日
事務所入居(5階)ビルより。
●3月12日
これは “もどき” と言うしかないが、時々は空を覆う鱗雲が観たい。
[3/17最終]
→「雨があがるように しずかに死んでゆこう」、そして週替わりの夕暮れ[2016/2/7]