池に来た当初は其処此処でツクツクボウシが合唱していたが、一定程度陽が落ちると彼らは皆静かになり、替わって秋の虫の声が耳に入る。
池を何周かしている間に、場所場所で虫の構成がやや異なること、どうやら4〜5種類の虫が鳴いていることが分かった。
リーーン、リーーン、リーーンという、やや音を伸ばしたアルトの声。
チリリリリリリ……と、ソプラノに近く息の長いか細き声。
そしてもう一種、チチチチチチチ……と、やや低くて長く途切れない声。
の3種までは聞き分けることができた(どれがコオロギだろうか)。
これからが彼ら(鳴くメスもいるらしいが)の季節。
![■「蜩の鳴く森深く入りきたれり」……そして週替わりの夕暮れ[9/6・7・11]_d0190217_21431901.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202209/12/17/d0190217_21431901.jpg)
現在制作中の歌集より一首、掲げさせていただこう。
60年以上の歌歴から、お弟子さんや家族から請われて已むなく自選百首を歌集として遺す――そのような考え方をする方に久方ぶりに出逢った。
世の中には、そういう人がいる。
加来光吉氏(行橋市)の『青打たれいる』は11月刊行。
自らの死を弔うと蜩の鳴く森深く入りきたれり
ずっと曇り空だったが、帰る直前に、ほんのり空が赤らんだ。