![■「うち曇る夏井ヶ浜に人の居て長き口づけを交わして立てり」加来光吉歌、そして週替わりの夕暮れ[11.5-6]_d0190217_21332468.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/202211/06/17/d0190217_21332468.jpg)
多様性の調和とでも。
行橋市在住・加来光吉氏の『歌集 青打たれいる』が出来上がった。
20代前半から60年に及ぶ歌歴の中より155首を自選。
1ページに1首組み、100部限定。
一種、断念振りは歌にも現れている、と言うと加来さんに叱られるだろうか。
好きな歌ばかりだが、そのうちの10首を。
うち曇る夏井ヶ浜に人の居て長き口づけを交わして立てり
地蔵堂過ぎて間もなき所にてまぎれなく石の男根は立つ
荒彫りの地蔵が肩に降る雪の雪の温みを思いてぞいる
抜きん出て青打たれいる今年竹六日無明の風吹き抜くる
無花果を二つ喰らいて昼飯の代わりとなせり今日終戦日
迷わずにきっと死ぬるという思い白木蓮は咲きて揺るがず
知り尽くす厨の闇に思い切り転びしことも口惜しきひとつ
山茱萸の花咲き灯る二月尽北の狂気が兵を動かす
自らの死を弔うと蜩の鳴く森深く入りきたれり
たっぷりと水を含みし水蒸気足立山麓包みて暮るる
いや、この時季だもの、もう1首。
権現岬自然公園入口に札あり落葉拾うを禁ず
[11/08最終]