■金沢・富山への小旅行③──近江町市場、ひがし茶屋街、金沢城公園、金沢の秋・街歩きの王道

●11月14日　近江町市場〜ひがし茶屋街〜主計町茶屋街〜金沢城公園
ありがちだが、旅行中の熟睡は稀だ。最近は部屋の窓を全く開けられないホテルが多く、閉じられたホテルの部屋では、“音” が何もないことが却って気になる。エアコンの動作音でも聞こえた方がましだ。それでやむを得ず、携帯してきたラジオをFM局に合わせ、音楽にしろ会話にしろほとんど聴き取れない音量にしたままで眠ろうとする。さらに、真っ暗な部屋で眠るのはどうも落ち着かないので（私の自宅寝室は障子付きの和室）、ホテルでは厚地の方のカーテンを20センチ程開けてベッドに横たわる。
そんなこんなでも、結局、よく眠れないままホテルで二日目の朝を迎えた。段々と明るくなっていくに従い、ちょっと不思議な雲が空を覆っていることに気づく。水平線に近い部分と、間隔を置いて截然と切り離された部分の、雲の様相が違う。窓からほとんど180度、水平線がラインとして見通せるからこその光景だろうが、こういう空模様もあるのだ。少し方向を変えてもう１枚。
バスに乗って近江町市場へ。

専ら鮮魚と野菜・果物が並べられている。

金沢にしては（？）垢抜けてないようで、庶民的な猥雑さが楽しい。

海鮮の店が多いこともあってか、どこか釜山の市場を思い出させる。

１個1000円で売られている大きな牡蠣は北海道産。

その場で食べている観光客も。

どこの鮮魚屋でも目立つのは、大きめの牡蠣とズワイガニ（以上は北海道産）や香箱ガニなどのカニ類だ。

またバスに乗って、ひがし茶屋街へ向かう。渡るのは浅野川。向こうに見えるのは梅ノ橋。天気が良ければ、もっとのどかに感じられるロケーションだろう。

大きなお尻が並んでいるのは、白人観光客グループ。

ビッグ・サイズの身体と細い路地との取り合わせには、やはりちょっと違和感が。

でも、だからこそ旅は楽しいのだ。

ああ、茶屋街というのはこういう所なんだな、と得心。

金沢は戦争末期に空襲を受けなかったことで、旧い家や町並みが残ったのだ、と。

確かに、にわかレトロ仕立ての各地の「○○通り」とは年季の入り方が違う。

喜ぶのは外国人ばかりではない。

ひがし茶屋街の一角にある宇多須神社。　

パワースポットにもされているとか。

道を戻って橋を渡り、主計町（かずえ）茶屋街へ。

さて、普通の民家なのかどうか。

この川の袂の道にも車が入り込んでくる。

文化財保護と生活とが並び立っているようだ。

無視できなかった木造橋。

金沢文芸館。

赤煉瓦造りでもなく、丸みを帯びたデザインが面白い。

東側の石川門から金沢城公園へ入る。

三の丸広場と菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓。

明治以降の木造城郭建築物としては国内最大規模だとか。

広々とした場所だ。

今回の旅で一番気に入った紅葉を纏う樹。

真っ赤でもなく黄葉でもなく。

すこぶる直線的な意匠の城だ。

菱櫓。石垣と濠との対照が、我が故郷の小倉城を思い起こさせる。

どれくらい経っている石垣か。

この紅葉も見事。

絢爛。

新丸広場か。

これで金沢城は見納め。紅葉目当てとまでは狙っていなかったが、この時季ここに訪れて良かったと思うことしきり。帰途、サンダーバードの車窓から石川県、福井県を見遣りつつ。

旅の空、日の名残。

　［12/1最終］