■小浜逸郎さん、「時の黙示」に導かれたのでしょうか? |
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2023年 04月 04日
評論家の小浜逸郎(こはま・いつお)氏が3月31日に逝かれた。75歳。
今朝の新聞記事で訃報を見てすぐに、何故か、大江健三郎、坂本龍一、それに小浜逸郎か……と思ってしまった。 小浜さんとは、1990年に数人の仲間と始めた「ライオンとペリカンの会」にて、1995年5月、竹田青嗣さんと一緒に講演をしていただいたのが最初だった。 都合4回、講演で来福いただいた。 [講演リスト] 1995年5月27日:〈無意識〉の現象学(小浜逸郎/竹田青嗣) 11月18日:〈オウム的現代〉とは何か(小浜逸郎/竹田青嗣) *確かこの時は講演会に四十数人の参加があり、最大人数だった。 *後に『竹田青嗣コレクション4 現代社会と「超越」』(海鳥社、1998年)に同名対談として収録。 1996年11月16日:〈終わりなき日常〉の越し方──市民・正義・ルール社会(小浜逸郎/竹田青嗣) 1998年6月13日:人はどこで〈自分〉になるのか──キレる子供とアブナい大人の現象学(小浜逸郎) それぞれ、勿論講師に相談した上で決めた演題だけれど、アップ・トゥ・デートの話をしていただいたことがよく分かる。 当時私は、『太宰治の場所』、『方法としての子ども』、『可能性としての家族』、『男がさばくアグネス論争』、『男はどこにいるのか』、『時の黙示』、『人はなぜ結婚するのか』、『中年男性論』、『正しく悩むための哲学』、『オウムと全共闘』、『癒しとしての死の哲学』、『大人への条件』、『この国はなぜ寂しいのか』、『無意識はどこにあるのか』、『吉本隆明──思想の普遍性とは何か』、『「弱者」とはだれか』、『なぜ人を殺してはいけないのか』、『「男」という不安』など──『太宰治…』を除いて──刊行直後にワクワクしながら読み、何冊かは読書会のテキストにも使った。 タイトルだけですぐに分かるように、その時々のアクチュアルな課題に対し全面的に応答しようとした批評姿勢は実に格好良かった。 間違いなくこの時期、小浜さんは団塊/全共闘世代批評家の先陣を切っていた。 当然ながらそこでは、同志的な敏腕編集者が伴走していた。 小浜さんの著書の中でも「語られることなく生きられている〈生〉の諸相を、微視的に、そして徹底的に内省した思想小説」というキャッチコピーをあてられた『時の黙示』(學藝書林、1991年、460ページ)のドストエフスキーを思わせるモノローグに私は圧倒され、竹田青嗣さんの論考とは別に、「現象学とは何か」という問いへの一つの実証を与えられたように思った。 『時の黙示』こそが小浜さんの傑作ではないだろうか。 上記1998年の講演会を終えた後も、他からの講演話で来福されたり、私の方が上京した際だったりという機会に幾度かお会いして、杯を傾けお話を伺った。 2000年代に入ってからの右旋回ぶりの事情についても、一度ご本人の口から訊きたいと思っていたが、叶わなかった。 私にとっては、全共闘世代の中でも一番話しやすい先輩であり、ペーソスというものに潜む翳を教えてくれた方である。
by karansha
| 2023-04-04 19:30
| 編集長日記
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