■３年半振りの釜山・二泊三日 ②──玄界灘を渡り終えることができるか？

●５月４日
だいぶ以前より、釜山で宿泊する場合にホテルの朝食バイキングは食べなくなった。私自身は注文しないがおかゆ、それにチゲ、そして最近は美味しいサンドイッチを出す店が結構あるのと、このごろは、釜山に限らず、旅行中に昼・夜と食べたいものがあって結構がっつりいきそうな場合、朝食バイキングでお腹を満たすのは避けておこうという気持ちにもなってきた。それでも、３年半振りに来たからには、何としても南浦洞（ナンポドン）国際市場のはずれにある「シンチャントースト」で朝食を食べなければいけない。まだ８時前だが、ちゃんと営業していた。愛想のいい店主。

定番のハムと卵を挟んだトースト、それに温かい豆乳を注文する。
中・高校時代、下校時に入り浸った飲食雑貨店の如き店の中。

人気者振りが分かる。
高級ブランド・ショップが並ぶ光復路へ。

流石にこの時期、所々、ショップが撤退しているようだ。

この通りを歩くと、韓国・釜山のその時々の経済状況の一端や新旧ブランドの入れ替わり振りが垣間見れる。
国際市場から見る釜山タワー。

ついつい、１月に訪れた大阪の通天閣を思い浮かべてしまう。　→新春大阪一泊行──「通天閣」問題と日欧版画（ロートレック、ミュシャ／写楽、北斎）の旅今回の釜山行チャレンジのもう一つは、「松島海上ケーブルカー」（韓国では、日本で言う「ロープウェイ」のことを「ケーブルカー」と言うようだ）。タクシーで松島に行き、ベイステーションから出発する「エアクルーズ」に乗車。最高は海上から86メートルとか。

床が透明な「クリスタルクルーズ」（少し高額）もある。

海の上もなかなか面白い。

海の上を1.62km渡って「松島スカイパーク」へ。

ケーブルカーが到着した岩南公園では、園地内で恐竜展が開かれているようだ。

気になった彫刻、「Lost Time」。

小首を傾げているのは何者か。

失われた時を探し求めて、或いは、私が失ったものは何か──。

展望台より。

少し前、福岡でも見たような花。

復路は、松島海水浴場の白砂に出迎えられて。

さて、私にとっての釜山行の一番の目的はやはり「南浦参鶏湯」。

ほとんど行く度に値上がりしている参鶏湯は、今回17000ウォン（約1800円）になっていた。

だが、そんなことも、ものかは──。

昼食後はセンタムシティをぶらつき、夜は南浦洞の「ケミチブ（개미집/ケミチブ）」にてタコ鍋。
●５月５日

雨が結構本降りとなってきたので、屋内がいいだろうと、南浦洞の釜山近代歴史館に。

下の写真は３年前（2019年11月）に訪れた時（休館日だった）。

玄関脇の樹が伐られた他、玄関回りも改修されている。

入るなり、受付に居た男性がにこやかに近づいてきて、綺麗な日本語で話しかけてきた。恐縮そうだ。

近代歴史館に来られたのでしょうけれど、生憎現在、この建物自体は分室の図書室となっていて、「釜山近代歴史館」はすぐ傍で整備中にて（来年オープン予定）今は入れません──と。

学芸員として働いている方だろうか、日本にも留学していたことがあるとかで、実に丁寧で優しい応対をしていただいた。

右奥が、ここで一番人気の児童コーナーとか。

釜山近代歴史館自体の歴史も展示している。

元々この建物は、日本の植民地時代の1929年、「東洋拓殖株式会社」の釜山支店として建てられたもの。戦後はアメリカの海外広報の拠点「釜山美文化院」として使われ、1999年に韓国政府に返還されたらしい。

以下、展示物。

玄関ホール。

ここのオープン時に拵えられたオブジェ。

光復路に戻る。

この色の取り合わせが釜山らしいと感じる。

帰りの港から南浦洞方面を眺める。

広安大橋。

帰りにようやく「クイーンビートル」の全貌を眺める。

世界初の80m級のトリマラン（三胴船）だとか。

さて問題は、今朝から情報としては聞いていたけれど、この日、玄界灘はひどい悪天候で、朝から航空機は全て欠航、船はどうだろうか──と。私たちは何とか「クイーンビートル」に乗れはしたものの、「出航しても途中で引き返すこともあり」という条件付きの乗船。玄界灘は2.5mの高波とか。「釜山港を出たらすぐに、海流の特に激しい地域を通過しますのでかなり揺れます」のアナウンス通り、出航して15分程で、極端な場合は浪がくだけた際に50cm程落ち込んだりで、その度にキャーッ！ と、まさにジェットコースター乗車の際の（女性の）叫び声そのままが船内に響き渡った。ようやく島影が見えてきて、対馬だと私は思ったが、この辺りまでの１時間半位、船はずっと揺れ続けた。私自身は気分が悪くなることはなかったが、これまでで一、二番を争う悪条件の船旅だった。「玄界灘を渡る」という言葉は、こうした渡海のことを言ってもきたのだ、と納得。能古島の傍を通過。

ようやく博多湾だ。

荒天の名残のような雲。

４時間以上かかって出発地に戻る。

　［5.16最終］