■コロナ禍後の台北〜台中三日間の旅［11/3-5］

忠烈祠正殿（台中）
●11月３日　福岡〜台北コロナ禍を挟んで、６年振りに台湾へ。
前回（2017年10月）は台南に行ったので、今回はメインを台中（タイチュン）に。桃園国際空港着陸前。台湾の面積は九州と同じくらい。

空港から桃園MRT機場線の急行で台北へ。

ホテルはMRT台北駅から一駅の中山駅より歩いて３分。ロビーには大きなシャンデリアが。部屋の窓から。あまり綺麗な景観とは言えないけれど……同じ東アジア、福岡も変わらないか。台湾ではどこへ行っても、大きなビルの端が（いわば屋根付きの）通路になっていることが多く、日差しが強かったり雨が降っている時は有難い。
ホテル周辺をブラブラする。

この葉の裏が紅い植物が気になる。

ベトナムほどではないが、ここでも小型バイクが走り回っている。
リノベーションした建物を利用したらしきカフェ。「羊毛與花（羊毛とはな）・珈琲小酒館」という名前。庭で休憩したが、嬉しいのはエビスビールの生が中ジョッキになみなみで900円だったこと。
テーブル下に落ちていたのは何の葉だろうか。

これは分かる、ガジュマルだ。

街路樹だったり、至る所に植えられている。

街のあこちに小公園が。

それにしても不思議な形の花があることよ。

トケイソウを思い出す。

夕食は知り合いに奨められた康青龍のはずれにある「永康牛肉麺」へ。

客が少し並んでいるので、まずは店外メニューを眺める。

（ガイドブックを行きの機中でしか見ることのない私には分からなかったが）結構な人気店のようだ。

満員の店内に、当然だが中国語が飛び交う。

B級フーズをこそ楽しみに台湾まで行ったのに写真を出さない、というわけにはいかないか。

牛肉麺の大、何とか食べ切った。

ここにはよほど腹を空かせて行くべきだ。

●11月４日
ホテル窓からの夜明け。

眼の前、古いビルの屋上の様子がどうも気になっている。
ビルの持ち主か？それなりの豪邸のような……仮の宿りが恒久化したような……。台湾高速鉄路（新幹線）で高鐵台中駅へ、約50分。隣接した在来線の新烏日駅から12分で台中駅（写真）へ。台南行きの時も同様だったが、高鐵の駅は街の中心部から少し離れている。台南は台北、高雄に次ぐ台湾第三の都市。
まずは巨大な弥勒菩薩像がある宝覚寺へ。

高さ約30メートルあるという弥勒菩薩像は、生憎、どうやら塗り替えか修復中のようだ。
これがそのミニチュア像のようだ。温顔が微笑ましい。

脇に置かれた石碑。

最初、門前に立っていては見つけられなかったが、寺の外で改めてその巨大さを確認する。

炎暑の路傍で。

雙十路天主教堂。

葉の形が面白い。

台中孔子廟。

敷地内にて、結婚披露宴の前撮り中か。

孔子廟裏手の位置にある忠烈祠。

1945年に日本の神社を改築したものらしく、これはその鳥居にあたる大門。

正面に山門が見える。

山門の下から前殿を眺める。両脇の植え込みには色々な花が。

綺麗な花には大きな棘がある。

この花は確か相島（新宮町）でも見掛けたような……。まるで鶏のトサカだ。

ついでにこれが2020年11月、相島（新宮町）で見掛けたもの。→朝鮮通信使の碇泊地・相島へ

最奥にある正殿。

広々として気持ちがいい。

結局、寺で働いているらしき人たちを除いて他に誰も見掛けなかったが、観光で来て見過ごすのは惜しいのではないか。

台中市中心部に戻る。

なかなか外壁賑やかな建物。

台中第二市場前。

市場では確かに餛飩湯（フントゥンタン／ワンタン）を食べた。

旧台中市役所。

1911年に建築された日本時代の台中市役所が、2016年に改修工事を終えてカフェとして生まれ変わったとのこと。

コーヒーが美味しかった。

カフェでもらった絵葉書。

向かいにあるのは旧台中州庁。

ちなみに、今回、参考にした『ASAHI ORIGINAL ＆TRAVEL 台湾 2017』（朝日新聞出版）ではこの建物を、「1911年建造の市役所庁舎をリノーベーション」というキャッチフレーズで、旧市役所として紹介している。

台中観光の目玉の一つらしい「宮原眼科」。1927年建築の眼科の建物を、名前はそのままでアイス＆スイーツショップに改造。２階はレストラン。女性観光客に大受けのようだ。

台中駅に戻る。

さて、ここから高鐵駅乗り換えの新烏日駅まで、往きは12分だったが帰りは……。

乗った急行列車がなんと新烏日駅には停車しないことを知らなかったことから、通過してしまった後に気付き、普通列車の待ち合わせ時間もあって、結局、予約した時間に１時間以上遅れて、それでも何とか台北行きの自由席に乗れた。

その途中、乗り換え駅のホームにて遭遇した日没の残影。

台北に戻り、いずこの店も１時間以上の待ち時間があって、漸く中山駅近くの「欣葉台菜（シンイエタイツァイ）」で食事を始めたのが９時だったか。

青菜炒（写真を撮ったのはこれだけ）から海老炒飯まで、味といいボリュームといい、私がこれまで食べた中華の最高峰だった。

●11月５日　台北

荘厳なる朝焼け。

ホテルのロビーにて。

「有名店が集まるおしゃれエリア」とされる康青龍地区へ朝の散歩に。落ち着いた通りに緑が多い。

阿原／YUAN。

はて、何の店かな？

店全体に、ややキツい、キリリとした匂いが漂っている。

どうやら石鹸ショップらしい。

そういえば、この匂いはどこかで？……とようやく、今朝まで二泊したホテルの洗面所に置いてあった四角い石鹸のことを思い出した。

その時は別段いい匂いとは思わなかったが、この際立ち方は確かに癖になりそうだ。

言うまでもなく、１個○千円という高価な代物。

それぞれの石鹸の洗い心地と勿論匂いも試せるのだろう、レトロな手洗い所が設けられている。

帰国後、この石鹸ブランドは有名らしく、日本にも系列ショップがあることを知った。

三角形をした永康公園はガイドブックにも載っていた。地元の人が思い思いの様子で日曜日の朝を楽しんでいる。この紅い縁取りの葉も気になる。私がこの街のギャラリーで自分のための土産に買ったのがこの複製画。この突出した直線的な構図と新疆ジュンガル人の顔が気に入った。原画がどんな来歴かも絵の裏に解説がある。かつて中国の人間が描いたかと思いきや、イタリア人画家の手になるものだった。
ウィキペディアには、ジュゼッペ・カスティリオーネ（中国名：郎世寧）としてこうある。
ジュゼッペ・カスティリオーネ（1688-1766）は、イタリアのミラノ生まれのイエズス会宣教師、画家である。27歳まではヨーロッパで熱心なキリスト教徒として生活しながら絵を学び、1715年8月に宣教師として中国に渡った。清朝の宮廷画家として康熙帝、雍正帝、乾隆帝に仕え、西洋画の技法を中国へと伝え、美術や建築に影響を与えた。絵画作品では乾隆帝大閲図、ジュンガル討伐戦の情景図、香妃肖像画などが有名である。バロック様式を取り入れた離宮である円明園西洋楼を設計した。

この後、「福州元祖 胡椒餅」を食べようと前に行ったことのある龍山寺の店を訪ねたが、生憎店休日で、西門町へ。

ここは「台北の原宿」といわれる若者の街。

ここでの目当ては「阿宗麺線」。

カツオだしの効いたスープにモツを入れてグラグラ滾らせ、煮込んだソーメンを紙カップについでくれる。

好みでパクチーをのせてくれるが、これらをスプーンで食べる。

ここでしか食べられない味で、食いしん坊の私は、「台北」と聞けばすぐさまこの麺線を思い浮かべるほどだ。

地元の人間も観光客もみな立ち食い体勢。

紙カップを手にしての10分間の至福。

さて、帰国だ。

予約の都合で帰りの飛行機では、私と妻は窓際ではなく機体中央部の席となった。

まあ、たまにはいいかと思ったものの、離陸後暫くして、西側で見事な夕焼けショーが展開されるのを、（この私が！）あの小さな窓から他の乗客の頭越しにチラチラと眺めるしかなかった。

雲の上では、夕焼けが雲に隠れることはない。

太陽は１時間近くは水平線に沈まなかったのではないか──。

あんなに長い時間、あんなに濃いオレンジ色に灼けている空を、私はこれまで（垣間）見たことはない。

ここに、せめてもので、空港でのもう一枚を。

台湾から夕刻の便に乗る際は、進行方向左（西）側窓辺にお坐りあれ。

→路上の台湾──台北〜台南二泊三日の旅［2017年10月29日］
→幻惑的台湾、そして高度１万メートルの夕暮れ［2014年５月］

　［11/15最終］