■「朝眼が覚めたら革命が終ってた なんてのが いいわよ」（清岡卓行詩）という事態がこの現在に起こればどうだろう──なんて17歳時のように夢想する日々、そして週替わりの夕暮れ［12/20-24日］

図らずも今日はもう12月24日。こんなにスピーディに生きてきたつもりはないのに、人生後半の引き算は素早いこと。
●12月20日信号待ちで動き出したバスの中から路側に見掛けた花は、あまり見たがことのないものに思えた。ブレはしたが何とかカメラに収めることができた。この、方向性が身上のような花は、どうしてここまで “首” を長く伸ばしているのか。
●12月21日
今朝の新聞の天気欄が面白かった。全国主要地域でも、全日☃マークは福岡・長崎・新潟のみ。全日☃マークでも、決して雪だるまが作れるほど積もることはない、というのが、青森でもなくかといって沖縄でもない九州日本海側地域の教えだ。

雲が幾らか波瀾を予告している。

　　　耳
　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　清岡卓行
　朝眼が覚めたら革命が終ってた
　なんてのが　いいわよ　と　見知らぬ若い女が　見知らぬ若い男からするりと逃げた。　いくら酒を飲んでも　耳しか熱く酔っぱらわないことがある。　二月の底冷えのする　とある酒場で、　ぼくはぼくのからだを持てあまし　ぼくの耳は　はげしく　音楽に飢えていた

●12月22日
今夕は赤煉瓦文化館にて読書会。テキストは、このところえらく売れている（25万部突破、と）らしき国分功一郎著『目的への抵抗』（新潮社）。帯のキャッチフレーズは【「ただ生きている」本当にそれだけでいいのだろうか──」。今時、こんなキャッチが効くのだろうか。軽い脅迫のようにも感じられるタイトルは、「目的」というより「目的意識」、「目的合理性」への抵抗、と考えた方が分かり易い。
読書会後の食事は、今をときめく──即ち、普通は私が脚を踏み入れることのない──「福岡大名ガーデンシティ」へ。それでも、「The CRAFT and Grill」のビールはなかなか美味かった。

　　音楽会で

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　清岡卓行
　地球の裏がわから来た　老指揮者の振るバッハに　幼い子はうとうとした　風に揺らぐ花のように。
　父は腕を添え木にした。　そして夢の中のように　甘い死の願いを聞いた　鳩と藻のパッサカリアに。
　幼い子が眼ざめるとき　この世はそんなに騒めき　神秘になつかしく浮かぶ？
　ああそんな記憶の庭が　父にも遠くで煙るが　フーガは明日の犀を呼ぶ。

●12月23日
冬空は、真摯で飾らないところが好ましい。